ああ、こういうことか。
Wikipedia Mobile
Wikipediaが出している公式アプリ。バージョンが5になってユニバーサルリンクに対応しました。ん? ユニバーサルリンク? それってどんなもの?
Universal Links
通常のHTTPプロトコルで直接iOSアプリを開く方法です。専用アプリがあれば、Safariに飛ばずにアプリで起動する。ブラウザを意識させないで分岐する方法。
たとえばWikipediaアプリは下記リンクで起動します。速い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ホワイトデー
Textwellアクション
カーソル行をWikipedia公式版で検索するアクション。
url="http://ja.wikipedia.org/wiki/"+T.stdin.currentText;
T(url);
Import Textwell ActionWikipedia
URLスキーム
URLスキームは、アプリごとに異なるプロトコルです。「http」のところに独自の名前が入る。通常はそれでいいんですが、「wikipedia」は不幸で、これをURLスキームにしようとするアプリがいっぱいあります。裏でURLスキームの奪い合いをしている。
うちの環境だと、下記スキームでWikipanionが起動します。
wikipedia://ja.wikipedia.org/wiki/ホワイトデー
Safariで開くには?
httpを横取りされると、Safariで開く方法がなくなる。回避するには、モバイル用のページを指定すれば良いようです。そこからデスクトップ用サイトを表示。
http://ja.m.wikipedia.org/wiki/ホワイトデー
でも、モバイル版のページがないサイトはどうなるんだろう? たとえばEvernoteモバイル版のページはいつの間にか消えています。昔はTextwellの内蔵ブラウザで見ることができたし、テキストを読み込むアクションも組むことができました。でも今は出来ない。
インターネットの終焉
インターネットをWebブラウザで見る時代が終わりました。各サイトが「公式アプリ」を用意し、そのアプリの中にユーザーを閉じ込める。サイトはWeb上にあっても、そのページを見せる必要がなくなった。アプリがネット上のデータを解釈し表示してくれる。
スマホの時代になって急にその傾向が加速し、アップルが追認したのがユニバーサルリンクだと思いました。パソコンの時代にはいろんなWebブラウザが登場し、それぞれが独自の拡張をすることでネット文化を豊かにしてきました。けれどiPhone/iPadでは、標準ブラウザをSafari以外にする方法が用意されていません。httpリンクをタップするとSafariしか起動しない。Windows95時代にマイクロソフトがInternetExplorerでやって独占禁止法に触れた行為です。iTunesにも同じ問題はあった。そしてiPhoneでも囲い込みをした。
その反動としてYouTubeやEvernoteなど各ネットサービスが自分用のアプリを出し、対抗しました。「Webページを開くよりアプリを使うほうが便利」という状況が生まれた。ユニバーサルリンクは妥協の産物のように思えます。ブラウザはSafari以外を開放しない代わりに、各ネットサービスに対しては便宜を図る。ユーザは、アプリだけでネットの恩恵を受けることができる。ネットサービスは他所にユーザを逃さなくて済む。
これは、新しい「ブラウザ」が登場するチャンスを奪っています。ユーザが別サイトに飛ぶ可能性を著しく減少する。Flashのようなプラグインも出てこない。もうインターネットは進化しなくなるでしょう。すでに知っていることの中で暮らすシステムです。確かにそれは「安全」で「安心」かも知れません。でも「安心」がそんなに大事なことでしょうか?